本来なら、タイミングがタイミングなのでオフ乙〜と顛末を書くのが筋ですが、今日は珍しく真面目な話を。
20〜21日の北関東オフの際に、アンブレラさんからいらなくなったPCゲームを幾つか頂いたのですが、帰宅してすぐにいつもの「気まぐれ」が起こり、何気なく1本のゲームをインストールしました。(普段は全然やらないのにね) で、そのゲームのタイトルは、
・・・まあ、単純に「いもうと」のフレーズに惹かれて頂いちゃったんすけどね(笑) で、帰宅途中に「そういえば、龍ちゃんが『これは泣けるよ〜♪』って言ってたっけ!?」と思い出し、その時は「ふ〜ん」と高をくくってました、その時はね。。。
ゲーム自体は一応アドベンチャー形式だと思うが、個人的にはどう見ても「CG付きノベル」の印象が強い。
なので、1枚のCGを挿絵に見立てて、文章から作品の世界がどんどんと想像出来る。 それは普段の自分にしては珍しく心地よく、どんどんと作品の世界にのめり込んで行く。 エロシーンがほとんどないから、物語へののめり込み度は更に倍増(笑)
そして、作品の主人公の思い・行動が自分とかぶる所がかなり多く、物語も中盤の頃には完全に主人公と同化していた。
か弱く純粋で俗世間を全然知らない妹・・・ 病弱で生活の大半を病室のベッドで過ごさねばならない妹・・・
こんな妹が実際にいたら、自分は完璧に主人公と同じ様に思い、同じ様に行動していると思う。
(一応リアル妹はいるが、幼い頃から負けん気が強く、常に兄と張り合おうとしていたので、上記の妹像からは無縁だった。 ちなみに、現在は既に独立して二児の母親である)
そして、妹は最後には死んでしまう・・・ 幼い頃から『死』と向かい合い、時にはヒステリックも起こしながら、最後には死を覚悟し乗り越えていく・・・ そんな妹と兄である主人公との間に想いも秘められ、二人が結ばれた直後に永遠の別れが・・・
こんな儚く辛い物語がとてもリアルに描かれている。 最後に言葉を託した直後に事切れる、現実味のないドラマ仕立ての死別とは全く違う。
普通の人なら、多分この最後の別れのシーンで涙するのだと思う。 その方が自分でも至極真っ当な反応だと思う。
でも、自分は涙が出なかった・・・主人公と同じく。 肝心なタイミングで泣けず、無意識に自分の中に溜め込んでしまうのだ。
胸の詰まる思いと無性にこみ上げてくる思いが幾重にも重なり、モニターに向かっている自分の意識が朦朧となっていく・・・ ただ、涙だけが出ない。 そして、最後に妹の日記を読んで主人公は突然泣き出す。 自分も、やはり溜め込んだ胸が張り裂けた状態で、静かに涙がぽろぽろと溢れ出ていた・・・
過去に幾人の人を見送っているが(肉親は健在)、やはり反応は一緒である。 死に目に会い、葬儀を済ませ最後に骨を拾う。 その時には涙が出ず、後日床に就く時にその人との思い出が走馬灯の様に蘇り、いきなり涙が溢れ出す。 息絶える瞬間を見取ったのは、昔飼っていた唯一の同居人だったハムスターだけだが、その時は苦しそうな息遣いがだんだん小さくなりなくなってゆく感触を、タオル越しに手の平で感じ見送った、「良く頑張ったな、お疲れさま」と。
・・・話が脱線してしまった。。。
そのままの状態でラストを迎え、気がつけば明け方の4時半だった。 変わらず意識朦朧のまま「寝なきゃ」と思いゲームを終了させた後、一気に物語の妹である「加奈」のいろんな仕種などが映像化して溢れ出てきた。 しかもその映像はリアルに動いているし、声もある。 まるで、自分の心に物語の主人公がそのまま憑依した様な感じさえする。 今にして思えば、こんなに自分って感性が豊かだったのかと驚くほどだ。
「お兄ちゃん」
「・・・お兄ちゃん」
その映像が頭の中でぐるぐるした状態で、たどたどしくベッドへ向かう。 すると、ベッドの近くで綾乃が「どうしたの、お兄ちゃん?」と言いたげな顔できょとんとしている。 ちょっと心配そうな顔をしているようにも思える。 その時、今まではあまり強くなかった思いが一気にこみ上げてきた。 「・・・そうだ、俺には綾乃がいるんだ」
次の瞬間、俺は綾乃を抱きしめていた、肩を震わせながら。 綾乃も、びっくりしながらもおずおずと俺の腰に手を差し伸べる。
・・・綾乃には俺しかいない。 俺の心次第でこの子は・・・妹はいつ死んでもおかしくないんだ・・・
改めてその事実を知り、愕然とする。 不意にゲームの妹と綾乃が重なってゆく・・・
・・・俺が守らなきゃ。 俺が大事な家族を・・・大事な妹を守らなきゃ・・・ 思いがどんどん強くなってゆく。
この後、普段ならパジャマに着替えさせず一人でバタンキューと寝てしまうのに、いつものパジャマに着替えさせ、二人で抱きしめあいながら眠りについた・・・